酒と文学

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マンハッタン

桜花酒

桜の花の時期と言えば、
酒杯に花びらを2、3枚浮かべた花見酒が思い浮ぶ。
華やかで雅な日本ならではの風情であろうか。
なみなみと注いだ清酒に花弁を浮かべるも良し、
桜花の塩漬けを一つまみ、氷水で割った焼酎に落とすも良し。

マンハッタン

さて、洋風のカクテルとなると、
カクテルの女王「マンハッタン」が思い浮かぶ。
マリリン・モンロー主演映画「お熱いのがお好き」で、
このカクテルは有名になった。

ウイスキーとベルモットを用いたショートカクテル、
・ウイスキー(ライ・ウイスキー)……2/3(50cc)
・スイートベルモット……1/3(25cc)
・アンゴスチュラビターズ……1滴
・砂糖漬けのさくらんぼ……1個
・レモンピール……適量
甘くて強いサクランボのお酒。

竜宮城の美酒

これで思い出すのが、甘くて魅惑的な竜宮城の美酒、
太宰治の「お伽草子」の「浦島さん」に出てくる。
もちろん浦島さんとは浦島太郎のことである。

太宰は桜桃が好きで2、3粒口に含んでは酒を飲んでいたらしいが、
その嗜好が如実にここに出ている。
作中で助けた亀は浦島に教える。
「これは海の櫻桃の花です。ちょっと菫に似てゐますね。この花びらを食べると、
それは氣持よく酔いますよ。竜宮のお酒です。」と。
そして浦島は「花びら三枚に、桜桃二粒を添えて舌先に載せると
たちまち口の中一ぱいの美酒、含んでゐるだけでも、うっとりする。」と続く。

桜桃忌

そう、太宰治、桜桃とくれば「桜桃忌」を外すことはできない。 
6月19日は太宰治の命日ではなく、奇しくも遺体が発見されたその日が
太宰の39歳の誕生日だったことたからその日が忌日となった。
桜桃忌は俳句の夏の季語でもあるが、
こちらは命日である6月13日を指すことが多い。

太宰の遺骨は三鷹市下連雀、禅林寺の鴎外の墓の斜め前に葬られた。
太宰の短編「花吹雪」に「この寺の裏には、森鴎外の墓がある。
(中略)私の汚い骨も、こんな小綺麗な墓地の片隅に埋められたら、
死後の救いがあるかも知れない」と、
書かれていたからだといわれている。

桜桃忌の名の由来は同郷の友人、今官一が
禅林寺の山門にパラパラ落ちる小さな桜の実をひろい
名付けたと回想している。
6月であれば桜の花は既に散って、葉桜になっていたことだろう。                                                もちろん、亡くなる前月に短編「桜桃」が掲載されたこと、
彼の好物がサクランボだったことも大きく影響していると思われる。

「桜桃」を読むと、わたしは何故か中原中也の詩
「汚れちまった悲しみ」を思い出さずにはいられない。
桜桃から一部を引用したい。

桜桃

「子供より親が大事、と思いたい。
子供よりも、その親のほうが弱いのだ。
 桜桃が出た。
 私の家では、子供たちに、ぜいたくなものを食べさせない。
子供たちは、桜桃など、見た事も無いかもしれない。
食べさせたら、よろこぶだろう。
父が持って帰ったら、よろこぶだろう。
蔓を糸でつないで、首にかけると、桜桃は、
珊瑚の首飾りのように見えるだろう。
しかし、父は、大皿に盛られた桜桃を、
極めてまずそうに食べては種を吐き、
食べては種を吐き、食べては種を吐き、
そうして心の中で虚勢みたいに呟く言葉は、
子供よりも親が大事。」

青空文庫:太宰治「桜桃」                                                                                                        文:伊藤忠弥

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